パニック症、カミングアウトする?しない? ~メリットとデメリット 、場面別の工夫と伝え方〜

パニック症全般

「パニック症になった! 身近な人に伝えるべき? どう伝えよう?」
——これは、多くの人が悩むテーマですよね・・・。

panicoの場合、発症から2か月経って診断を受けた後、夫に伝えたのが最初でした。
ほかには、職場の上司に退職の意思を伝えるために仕方なく伝えたのみで、友人や職場の同僚にぽつぽつ話せるようになったのは、発症から1年以上が経って症状がほとんど無くなってきたころでした。

カミングアウトにはとても勇気が必要であり、打ち明けることで助けられることもあれば、残念ながら傷つくこともあります。
この記事では、カミングアウトのメリット・デメリットを整理し、職場・学校・家族・友人といった場面別の工夫実際の伝え方の例文をご紹介します。

ノウハウ的に載せていますが、あくまでも参考程度です。
大事なのは、あなたが話したいと思った人に、話したいと思ったタイミングで、伝えたくなった言葉で話すということ。どんなに言葉を選んで気を遣っても、伝わらないこと、理解してもらえないこともあるかもしれません。相手側の受け取り方は、私たちはコントロールできないのです


カミングアウトのメリット

1. 理解やサポートが得られる

体調や状態を正直に伝えることで、周囲があなたの状況を理解しやすくなります。
例えば、職場では「急に休む=怠けている」ではなく「体調の波がある」と理解してもらえる可能性が高まります。

2. 孤独感の軽減

こころの病気を隠していると、「自分だけがつらい」「誰にも分かってもらえない」と孤独を感じやすくなります。
信頼できる人に打ち明けることで、共感や支えを得て、心理的な負担が軽くなることもあります。

3. 自己受容につながる

「隠す必要はない」と思えること自体が、自分を認める一歩につながります。病気を受け入れる過程で、カミングアウトは自己肯定感を高めるきっかけになることがあります。

panico的に、これはすごく感じました。自分だけの内に留めていたものを、言葉にして外に出すことで、パニック症を少し外から見ることができます。その外に出したものを、相手との会話のキャッチボールで何度も自分に返ってくる体験(リフレクション)で、自分に対しての理解が深まります。

4. 制度利用がスムーズになる可能性

職場の休職制度や合理的配慮、学校での合理的配慮など、正式なサポートを受けるには開示が必要なケースもあります。打ち明けることで制度を有効に使いやすくなります。

panicoの知人にも、パニック症を打ち明けて、職場からの理解と合理的配慮が得られ、電車に乗らずフルリモートで勤務している方がいます。


カミングアウトのデメリット

1. 偏見や誤解を受ける可能性

精神疾患への理解は少しずつ広がっていますが、「心が弱い」「頑張れば治る」といった偏見はいまだ根強いです。誤解されて距離を置かれるリスクもあります。

2. 信頼や評価への影響

特に職場では「責任ある仕事は任せられないのでは」と判断されることがあり、キャリアや人間関係に影響が出る場合があります。

3. プライバシーが守られないリスク

信頼して話しても、知らないうちに他人へ伝わってしまうことがあります。自分で情報をコントロールできなくなる点は注意が必要です。

4. 理解が得られないことによる失望

「勇気を出して話したのに、思ったほど受け止めてもらえなかった」と感じることもあります。逆に孤独感が増すケースもあるので、相手を慎重に選ぶことが大切です。


場面別の工夫

職場で

  • ポイント
    • 最小限の人に伝える(直属の上司、人事、産業医など)
    • 「配慮があると助かる具体的な内容」を伝える
    • 診断書や医師の意見書を活用する
  • メリット:休暇・時短勤務・業務調整などが受けやすい
  • デメリット:評価やキャリアに影響する可能性
  • 伝え方の例
    • 「通院のため、月に一度早退させていただけると助かります。」
    • 「実は持病があり、体調によっては急に休養が必要になることがあります。業務に支障が出ないよう、事前に相談させていただきたいです。」

学校で

  • ポイント
    • 担任やスクールカウンセラーなど、まずは少人数から
    • 「授業中に体調が悪くなることがあるので保健室に行かせてほしい」など、具体的にお願いする
    • 開示範囲は自分で決める(先生のみ/友人にも伝える、など)
  • メリット:課題や出席の調整、カウンセリング利用などがしやすい
  • デメリット:同級生からのからかいや孤立のリスク
  • 伝え方の例
    • 「授業中に体調が悪くなることがあるので、保健室に行く許可をいただけると安心です。」
    • 「提出期限を少し延ばしていただけないでしょうか。症状の波があり、調整が難しいときがあります。」

家族に

  • ポイント
    • 医師の診断や説明資料を一緒に見ると説得力が増す
    • 「今はそっとしてほしい」など希望をはっきり伝える
    • まず理解してくれそうな人に限定して話す
  • メリット:生活面・経済面での大きな支えが得られる
  • デメリット:「気持ちの問題」と片付けられたり、過干渉になって逆に負担になることも
  • 伝え方の例
    • 「医師から◯◯という診断を受けたんだ。無理に理解してもらわなくてもいいけど、通院や休養に協力してもらえると助かる。」
    • 「心配してくれるのはありがたいけど、今は静かに休ませてもらえるとうれしい。」

友人に

  • ポイント
    • 信頼できる友人から少しずつ話す
    • 病気のことよりも「こういうときに辛い」「こうしてくれると助かる」をメインで
    • 相手に大きな負担をかけないよう、話す範囲を工夫する
  • メリット:共感を得られ、孤独感が減る
  • デメリット:距離を置かれる、過剰に気を遣われる可能性
  • 伝え方の例
    • 「実は体調に波があって、急に会えなくなることがあるんだ。でも避けているわけじゃないから、理解してもらえると嬉しい。」
    • 「あまり大ごとにしたくないんだけど、調子が悪いときは返事が遅れるかもしれない。気長に待ってくれると助かる。」

まとめ

カミングアウトには勇気が必要ですが、あなたの一歩で理解や支援につながることも多いです。
panicoの場合、最初は全然乗り気でなかった上司へのカミングアウトでしたが、その上司から、のちの回復に大きな助けとなる言葉をもらいました。あのとき伝えてほんとうによかった。
ちなみにそのときのエピソードは以下の記事で紹介しています。

時々、期待していたほど理解が得られず後悔したり、その後の人間関係がぎくしゃくする(ように感じる)こともあります。(そもそもあまり期待しないほうがいいのですが。)カミングアウトしてから疎遠になったもいました。でもそういう人って、パニック症の有る無しに関わらず、いずれ離れていく人だと思うんです。

勇気を出して切り出したあなたの姿をみて、応援したいと思ってくれる人、変わらずそばにいてくれる人こそ、今後もお互いに信頼関係を築いていける相手だと思いませんか。

パニック症からの回復は、自分の身の回りに「安心」を増やしていくことだとpanicoは思っています。

無理にすべてを話す必要はありません。自分にとって安心できる範囲で、信頼できる人から少しずつ共有していけると良いと思います。

あなたのペースで大丈夫! (力説)

今日も読んでくださりありがとうございました。


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